今回は、時短プリントを実現すべく、HyperCube の 24V化をしてみます!
でも結果から言うと 失敗 しました 笑
何故24V?
ほとんどの3Dプリンターは、12V でヒーター類が駆動されています。
(※制御に使われる Atmega2560 は 5V 駆動ですが、12Vの電源からレギュレーター等を使って降圧して使われます。その方が安定した電源確保ができますからね (^^)b)
12V でも、動作には全く支障はありません。
ただ、予熱時間 が非常に長く、ヒートベッドを ABS のプリントに必要な 100℃ まで上げようとすると、環境によっては 10分以上 かかることもあります。
対して、24V では 約5-6分 で目標値に到達します。
3Dプリント自体の時間は全く変わりませんが、予熱時間短縮に大きな効果があります。
Original Prusa でも、MK3となって遂に 24V化 が施されました。
こちらの動画でも、24V の MK3 の方が、約2分ほど早く 目標の 100℃ に到達していますね!
でも12Vのプリンターに24V流せるわけじゃないでしょ?
はい。無理です (´・ω・`)
そんなことしたら多分ボードが焼けますw
特にヒートベッドの消費電力が凄まじいことになります。
試しに MK2A PCB ヒートベッド で24Vを流すことを想定して計算してみましょう。
12Vの場合
MK2Aは、通常 1.0 – 1.2Ω の抵抗値となるように製造されています。
オームの法則 にしたがって、消費電力を計算すると
12V = 1.0Ω * I
I = 12A
W = 12V * 12A = 144W
となります。
12V仕様のヒートベッドに24Vの電圧をかけた場合
同様に計算します。
24V = 1.0Ω * I
I = 24A
W = 24V * 24A = 576W
よって、4倍 の電力が消費されることが分かります。
600Wクラス の電源はなかなか用意しづらいですし、そもそも 12V 仕様のコントロールボードに 24A もの電流を流せる MOSFET (リレー) が搭載されているとは考えにくいです。
っていうかそもそも 危険 です (; ・`д・´)
恐らく色々な箇所が焼けるでしょう 笑
運よく焼けなかったとしても、温度のオーバーシュート (目標値からのずれ) が大きすぎてコントロールが効かなくなる可能性があります。(危険なのでやめてね(=゚ω゚)ノ)
じゃどうするの?
24V 対応 の ヒートベッド が必要となります。
このヒートベッドでは、抵抗値が増やされています。
したがって、先程のような大電流は流れません。
MK2B PCB ヒートベッド では、3.0 – 3.4Ω の抵抗値となっています。
上と同様に計算すると
24V = 3.0A * I
I = 8.0A
W = 24V * 8.0A = 192W
電流が 4A 減少して、消費電力は 約 30% (48W) 増加 してします。
これならリレー部に大電流が流れることを防げますね (^^)/
ただ、リレー部だけが安全圏内に入ったからといって、コントロールボード全体に24Vをかけていいわけではありません。
(ちなみにモータードライバーは電流で制御しているので、40Vくらいまではかけても大丈夫みたいです。)
コントロールボードの仕様
自作型3Dプリンターで最もよく使われているのは、RAMPSボード と呼ばれるモジュールと Arduino MEGA 2560 の組み合わせです。
非常に使いやすく、自由度が高いため、多くのユーザーに使われています。
私も購入しようか迷ったのですが、リレーを用意したりヒューズを交換したりと、少し面倒そうでしたので、今回は敬遠しました。
ドナーとなる i3 Pro X のコントロールボード、GT2560 の仕様を見てみると、なんと 12-24V の電源に対応しているではありませんか ( ゚Д゚)
ということでコントロールボードはそのままに必要な部品を取り寄せることにしましたw
揃えたのは写真の3点。24V 360W 電源と、24V対応ヒーターカートリッジ (エクストルーダー)、MK3 ヒートベッド です。
純正の 180W 電源と比較すると、で、デカい…!
当然ながら発熱量も増えますので、ファンが追加されています。
MK3ヒートベッドは12V/24V両対応です。
電源コネクタの接続位置を変更することで対応電圧を変更することができます。
私は AliExpress より購入したのですが、非常にハンドメイド感溢れるハンダ付けがされていましたw
MK3ヒートベッドの特徴として、アルミニウム板とPCBが一体化していることが挙げられます。
完全に一体化しているため、熱がより素早くかつ均一にアルミ板へと伝わります。
ど真ん中の穴をふさぐために、カプトンテープが貼られているのですが、これいるんかな…。
ちゃちゃっと結線変更!30W半田ごてじゃ全然足りないので、ライターでコテ先を温めながら無理やり半田付けしましたw
(あと付属のケーブルが短かったので、太目のスピーカーケーブルに変更しています。)
ベッドへの食いつきをよくするため、3M の 3099AB を購入しました。
このシート、非常に食いつきがよく、長持ちします!(PLAの場合, ABSでは結構すぐに反るようになりますが、その辺のショボいのに比べたら圧倒的なパフォーマンスを発揮します。)
3Dプリンターのマストアイテムです!(=゚ω゚)ノ
アルコールで綺麗に拭いたあと、焦らずゆっくりと貼っていきます。
交換する際は綺麗に剥がれますよ!
最高に気持ちの良い瞬間です 笑
それぞれ組み付けて完成!
結果としては・・・・
エクストルーダーの加熱はとても早くなり、ベッドは逆に遅くなりましたww
それもそのはず。
ヒーターカートリッジは 純正 40W から 50W になっているのに対し、MK3ベッドは 5Ω なので、115.2W と、元の 144W よりも省エネ() になってしまってるんですね 笑
この記事を書いてから気づきました←
電源ファンがクソうるさいし、正直失敗です… orz
24V化する際にはMK2Bを買いましょう (爆
あと24V化するとサーミスタの入力が正しく読み込めない現象が見られました。
完全に失敗 です 笑
(MK2Bベッドを買っても多分うまく動かないので、この後そっと12Vに戻しました…(´・ω・`))
今回使った費用
- MK3 ヒートベッド (AliExpress, サーミスタ付)
- ヒーターカートリッジ (AliExpress, 24V 1m)
- 電源 (Amazon, 24V 360W)
- プラットフォームシート (Amazon, 3M 3099AB)
- 以前は 1,800円くらいだったと思うのですが、流石の人気で値上がりしてますねw
計: 6,434
うーん…銭失いになってしまった… (´・ω・`)